2024年2月22日木曜日

詐欺裁判の評決でトランプ氏に科されたのは、約530億円の罰金だけではない

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詐欺裁判の評決でトランプ氏に科されたのは、約530億円の罰金だけではない

アーサー・エンゴロン判事は、2024年2月16日、トランプと息子二人などに合わせて約3億6400万ドルという高額な罰金の支払いを命じた。

アーサー・エンゴロン判事(左)は、2024年2月16日、ドナルド・トランプ前大統領(右)と息子二人などに合わせて約3億6400万ドルという高額な罰金の支払いを命じた。

Eduardo Munoz Alvarez-Pool/Getty Images; James Devaney/GC Images

  • トランプ前大統領とその二人の息子、そしてトランプ・オーガニゼーションは、10年にわたる不正行為から得た3億6400万ドルを返済しなければならない。
  • 2024年2月16日の評決で、トランプは向こう3年間、ニューヨーク州内での事業経営も禁じられた。
  • トランプの詐欺行為は、 「文書のページから飛び出し、読む者の良心に衝撃を与える」とアーサー・エンゴロン判事は判決文に記している。

2024年2月16日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領のニューヨークでの民事詐欺事件の判事は、彼の10年間にわたる詐欺行為を罰する厳しい判決を下し、大統領選挙の共和党最有力候補であるトランプと、その2人の息子、そしてトランプ・オーガ二ゼーション(Trump Organization)に約3億6400万ドル(約535億円)の罰金の支払いを命じた。

3年以上この訴訟の裁判長を務めてきたニューヨーク州裁判所(New York Supreme Court)のアーサー・エンゴロン(Arthur Engoron)判事は、「ここにある詐欺の数々は訴状のページから飛び出して、読む者の良心に衝撃を与える」と判決文で述べている。

そのうち3億5500万ドル(約533億円)はトランプが個人的に負担することになるが、トランプの息子であるドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr.)とエリック・トランプ(Eric Trump)はそれぞれ400万ドル(約5億9977万円)、トランプ・オーガニゼーションの元最高財務責任者(CFO)であるアレン・ワイゼルバーグ(Allen Weisselberg)も罰金100万ドル(約1億4994万円)の支払いを命じられた。

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しかしこの判決はトランプの財布に影響を与えるだけではない。トランプが長年にわたって反対してきた2つの方法で、彼の不動産とゴルフリゾート帝国であるトランプ・オーガニゼーションを標的にしている。

第一に、この判決は、会社の経営権を前大統領と彼の2人の息子から奪い、会社の重要な決定を委ねるためのコンプライアンス担当の独立社外取締役の選任を命じた。その取締役はトランプに対する監視員の継続的な監視の下で業務を遂行することになる。

第二に、この判決はトランプがその名を知られ、威勢のいい不動産王として初めて全国的な注目を浴びたこの都市や州で、トランプ・オーガニゼーションやその他の経営を行うことを3年間禁止した。これはトランプにとって商業的に街から追い出されるのと同じことだ。

重要なことは、これはトランプにとって大きな希望の光でもあるのだが、この判決は2023年9月に下された最も不利な要素だった「企業にとっての死刑判決」を覆した。トランプはトランプ・オーガニゼーションのニューヨーク州内での営業許可をすべて放棄する必要はなく、この判決はトランプの不動産の強制売却については言及していない。

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この判決は、ニューヨーク州の司法長官レティシア・ジェームズ(Letitia James)による5年間にわたる努力の結実だ。

2024年2月16日、ジェームズ司法長官はこの判決について声明を発表した。

彼女は「トランプは自分の家族や会社を富ませるために、長年にわたって詐欺行為に手を染めてきた」と記者会見で語った。

現在、トランプと共犯者たちは利息を含めて4億5000万ドル(約675億円)以上を支払わなければならない。

「彼は 『Art of the Deal(取引の技)』という本を書いたかもしれないが、今回、彼のビジネスは「art of the steal(盗みの技)」に基づいていたことを明らかにした」とジェームズ司法長官は語った。

トランプ大統領はすぐに控訴すると見られており、92ページにおよぶ判決文に記された処罰などは、2024年11月の大統領選挙までお預けとなる可能性が高い。

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だが今後数週間のうちに、トランプは、控訴裁判所が最終的に支持した金額に利息を加えた金額の支払いを保証するために、保証債(契約や義務の履行を保証する債権)に数百万ドルを費やす必要がある。

今回の罰金には利息がつき、最終的な判決の額に数百万ドル上乗せされる可能性もある。

「裁判で供述を突きつけられたとき、被告側の事実証言者と専門家証人は現実を否定するばかりで、被告は責任を認めようともしなかったし、将来的な再発を防ぐための内部統制を課すこともしなかった」 とエンゴロン判事は2023年2月16日に書いている。

エンゴロン判事による3カ月の裁判に基づくこの判決は、トランプが二人の息子と長年のトランプ・オーガニゼーション幹部二人の助けを借りてビジネスと保険詐欺の共謀を主導したとして、民事責任を問うものだ。

「彼らは反省もしていないし後悔もしていない。病的としか言いようがない」とエンゴロン判事は書いている。

「彼らはより多くのお金を稼ぐため所有資産の価値を過大に膨らませたという罪で告発されている」

「文書はこれを何度も証明している。これは小罪であり、大罪ではない」と彼はつけ加えた。

「被告は殺人も放火もしていない。銃を突きつけて銀行を襲ったわけでもない。ドナルド・トランプはバーナード・マドフ(Bernard Madoff)ではない。にもかかわらず、被告人たちは自分たちの過ちを認めることができない」

トランプ・オーガニゼーションの広報担当者は声明で、評決は 「重大な誤審」だと非難している。

「業種を問わず、ニューヨークのビジネス界のすべてのメンバーたちは、司法長官によるこのひどい行き過ぎた行為と、私的または公的な損害が立証されていない場で無制限の権力を行使しようとする厚かましい試みを深刻に懸念する必要がある」と広報担当者は声明で述べた。

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「この判決が許されるのなら、ニューヨークからの企業流出がさらに加速するだけだろう」

2024年2月16日の判決はここから見ることができる

「今日、正義が果たされた。これはこの州、この国では、それは、たとえ元大統領であっても、我々すべての人は皆同じルールに従って行動しなければならない。これはとてつもない勝利だ」とジェームズ司法長官は2月16日の声明で述べている。

「権力者がより良い融資を得るために不正を行えば、誠実で勤勉な人々が犠牲になる」とジェームズ司法長官は続けた。

「普通のアメリカ人は、家を買うために住宅ローンを組む時に銀行に嘘をつくことはできない。もしそんなことをすれば、政府は彼らに帳簿を突きつけるだろう。人々によってルールが違うということはありえない」

軽くなった罰則

この判決はまた、トランプ前大統領とトランプ・オーガニゼーションに対し、ニューヨークの銀行からの借入や州内の不動産購入を向こう3年間禁止している。ジェームズ司法長官は訴訟の中で5年間の不動産売買の禁止を求めていた。

判決によってトランプの息子であるドナルド・トランプ・ジュニアとエリック・トランプの兄弟はニューヨーク州内での事業経営を2年間禁止された。ジェームズ司法長官は兄弟に対しては5年間の禁止を求めていた。

さらにこの判決はトランプ・オーガニゼーションの元CFOのワイゼルバーグと元監査役のジェフ・マッコニー(Jeff McConney)の二人がニューヨークの別の企業の財務を管理することも禁止している。

Syrian Salvation Government

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