東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に3選を目指して出馬を表明している小池百合子都知事(71)は18日、公約をオンライン記者会見で発表した。「『もっとよくなる東京大改革3.0』を掲げてこのたびの東京都知事選挙に出馬を致します。これからも都民のため、都民とともに都政を爆速で進めて参ります」と表明。「東京を世界で一番のまちにする」として、「都民の命と暮らしを守る」と訴えた。(東京都知事選取材班)
◆オンラインは「希望する全員に参加していただくため」
小池氏は会見をオンラインとした理由について、「マスコミ各社、ネットメディアなどから非常に多くの問い合わせをいただいた」として、「希望する全ての皆さまに参加していただけるように」「直接的かつ効果的に私の考え方を幅広くお届けするため」と説明。「企業ではオンラインの決算説明会も増えている」とも話した。
公約では「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」を柱に掲げ、避難所改革や認知症専門病院の開設、行政のデジタル化などを盛り込んだ。
「もっとよくなる」とのフレーズについて、小池氏は、少子高齢化や自然災害などの課題も山積している中で「東京大改革がもっともっとバージョンアップしていかなければ、時代の変化、社会の激動、技術の進歩に間に合わない」との危機感を込めたと説明した。
◆無痛分娩費用の助成制度創設を表明
小池氏が2期目にも力を入れてきた子育て分野では、「子育て・教育にお金がかからない東京へ」を掲げ、無痛分娩費用の助成制度の導入や、現在の第2子からとなっている保育料の無償化の対象を、第1子へ拡充するとした。大学給付金制度の創設も打ち出した。
出生率の低下などに触れながら、「若い世代が結婚、出産はリスクと考えるようでは社会の発展はない」と指摘。不妊治療や卵子凍結への支援、全ての子どもに月額5000円を支援する「018サポート」、第2子の保育料の無償化、都立大学の授業料の実質無償化といった自身の取り組みをPRしながら、「子育て、教育にお金がかからない東京を目指す」とし、新たに無痛分娩費用に対する助成制度を創設すると表明した。
保育料の無償化についても、第1子までの拡大、子育て世帯への家賃負担の軽減、新たな「東京版大学給付金制度」といった経済的負担の軽減策を講じていくと訴えた。
介護分野では「東京版の介護職員昇給制度」を創設する考えを示し、介護人材の確保を進めていくとした。
◆中小企業の賃上げ「支援を加速する」
経済分野では、中小企業の賃上げが徹底が必要だとして、「支援を加速していく」と表明。男女の賃金格差や非正規雇用の処遇改善といった課題にも対処すると述べた。
客が従業員らに理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止する条例の制定にも意欲を示した。
女性活躍基本条例の制定や、認知症専門病院の開設なども進めるとした。
多摩地域を走る多摩都市モノレールの延伸や、JR中央線の駅ホーム上のドア設置なども推進すると述べた。
有形無形の江戸時代から続く文化財産の世界遺産登録を目指すとも表明した。
◆「都政の歴史に残る8年だった」と自賛
小池氏は2期8年を振り返り、「都政の歴史に残る8年だった」と自賛。「かつてない難局の中で、『東京大改革』の旗を掲げ、従来の馴れ合い政治、慣例に挑んだ」と実績を強調し、「都民の命と暮らしを守り、持続可能な経済を発展させる、明るい未来へと続く道を切り開く努力をコツコツと大胆に重ねてきた」と訴えた。
告示2日前のオンライン会見はズームで行われ、午前10時に始まり、約40分で終了。質疑の時間は15分で、質問できた記者は5人だった。神宮外苑の再開発や小池氏の学歴問題についての質問は出なかった。東京新聞はズームで「挙手」をしていたが、指名されなかった。
◆約50人が立候補表明
都知事選には他に、蓮舫参院議員(56)=立憲民主党の離党届=と広島県安芸高田市の石丸伸二前市長(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)ら約50人が立候補を表明。候補者は前回2020年の22人を上回り、過去最多となる見通し。