https://www.youtube.com/watch?v=sVnLbR8CnmI
今回の小池のヤジ対策は優秀だった。
演説中にやめろコールがあまりにも大きくなって、彼女は演説をしばらく中止したのだ。この「事件」はまたたく間にネット中を駆け巡り、活動家の勝利として反小池陣営で賛美の声が上がった。 しかし、これこそが、まさに小池が待っていたことだったのだ。ヤジに阻まれて言論の自由が奪われたという現場ができあがり、ヤジの目的はまさに小池の言論の自由を奪うことだった、という既成事実ができあがったのだ。そして今、彼女はその動かぬ証拠を手に、ヤジの行き過ぎを戒める新しい法整備を進めることを政府に要求したわけだ。 アメリカには「自分の手を振り回す自由は、近くに他人がいない場合に限る」ということわざがある。自由は無制限ではない、他人の自由を奪う自由はない、という意味だ。「安倍やめろ」コールは表現の自由としてゆるされるという裁判所結果が出て以来、ヤジ活動はますます過激となり、つばさの党の何人かが逮捕される事態にまで及んだ。 今回の小池知事のヤジ対策は、まさに、ヤジが他者の言論の自由を妨げ得る、という現場を創出したことだった。そうすることによって、「ヤジによる選挙妨害」に関するあたらしい法整備の準備をすることになったわけだ。日本の公職選挙法に「他人の自由を奪う自由はない」という原理が導入される可能性は高い。それが達成されれば小池の今回のヤジ対策は歴史に残ることになるだろう。