日本の自民党総裁選は、たとえばアメリカの大統領選のようなものと違って、一般国民が選ぶ選挙ではなく、自民党員が選ぶ選挙なので、自民党員なら当然知っているだろうことはあまり詳しくは説明されていないかと思います。今回はたくさん立候補者がいるので、一人一人に与えられる時間も少なく、特にそういう傾向がつよいかと思います。
石破さんを特徴づける政策は(1)国の防災(2)安全保障(3)地方再生(4)消費活動を刺激することによる経済の好転化、などに重点がおかれていることです。
防災政策は、これまでのような、防災が起きるたびごとにに各省から臨時の人材をかき集めて対処するのではなく、防災省を常設することによって専門的な経験と知識を蓄えることを可能とし、より効果的な防災対応ができるようにすることです。
彼の安全保障政策(石破さんの専門領域)の基本的な考えは、敵対勢力が日本を攻撃することを思いとどまらせるような「抑止力」をもつことです。これが、「なぜウクライナはロシアの攻撃を避けることができなかったのか」と石破さんがしばしば問いかける理由です。つまり、ウクライナは抑止力(たとえばNATOの一員として集団的自衛力)を持たなかったからだ、ということです。
日本の抑止力とは何か。その一つは、「陸海空軍その他の戦力」の放棄を規定している憲法9条2項を削除することを含む憲法改正です。この条項は自衛隊違憲論の根拠となってきました。憲法改正は、自衛のための戦力を持つ権利があることを、初めて国内外に対して非常に明確に表明することになります。これが石破さんの言う抑止力としての法的整備です。
さらに、いま日本の自衛隊が直面している問題の一つは自衛隊員の数の不足です。憲法改正による自衛隊員の地位の確立とともに、石破さんは自衛隊員の待遇を改善することなどによってその問題を解消しようと思っています。自衛隊員なくして国防は成り立たないからです。
ロシア、中国、北朝鮮など、日本の近隣には核を保有する、あまり友好的ではない国があります。しかし、日本は原爆による被災を被った唯一の国として、核爆弾などの武器の放棄を国の方針としています。そのため、アメリカの核の傘によって「守られている」状況です。