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与党の過半数割れの影響が出始めています。国会の委員会の中で最も重要とされる『予算委員会』。その衆議院の委員長のポストが、野党である立憲民主党に割り当てられることになりました。予算委員長のポストを野党が担うのは極めて異例で、国会運営は不透明さを増しています。 ■総理「痛恨の極み」衆院選総括 7日に行われた自民党両院議員懇談会。選挙の総括は謝罪で始まりました。 石破茂総理大臣 「今回の選挙におきまして、多くの我が党の同志の皆様方、議席を失われる結果となりました。誠に痛恨の極みであります。国民の皆様方のご期待に十分応えることができなかったこと。このことは私自身、本当に深く反省をし、おわびをしなければならないと考えておる次第でございます。誠に申し訳ございません」 約3時間の会合で出た意見は…。 自民党 片山さつき参院議員 「正しい選挙の総括なくして、次の勝利も政権運営もないので。新人もいらっしゃるし落選議員もいますよね。その意見も同時かあるいは先に聞くべきじゃなかったかというのは、私も含めてほぼ全員が言いました」 自民党 英利アルフィヤ衆院議員 「やはり2000万円の支給の問題で大幅に風が変わったということ。今この場でも説明してほしい。そして多くの同志がその理由で上がってこられなかったということも考えてほしいということが同意事項としてあったと思います」 一部からは石破総理の責任を問う声もあったといいますが…。 自民党 柴山昌彦衆院議員 「様々な政治課題もありますし、このような中で、やはり結束をして党運営に臨んでほしいという声がほとんど全部だったと思います」 ■自民 過半数割れで“異例”の譲歩 少数与党として臨むことになる、来週からの特別国会。いつもと違う波乱の様子が、開会前からすでに表れています。 7日朝に開かれた、与野党の国対委員長会談で色々なことが決まりました。総理を決める特別国会の会期は、14日までの4日間。また、その後、早期に臨時国会を開き、予算委員会を開催することも合意しました。 そして、委員長ポストについて、選挙の前は議席数に応じて与党が圧倒的多数を占めていましたが、立憲民主党が6つ握ることに。なかでも極めて異例と言えるのが、予算委員長のポストが立憲に割り振られたことです。少数与党が譲歩した格好です。 自民党 坂本哲志国対委員長 「私たちの方から、予算委員長はしっかり野党さんの方でやってください」 あらゆる政策に付いて回る国の予算。その審議を司る予算委員会は総理以下、全閣僚が出揃うこともあります。それゆえ、疑惑やスキャンダルを抱えた閣僚の資質が追及されるなど、政権の命運にも直結する委員会です。 その捌きを担う予算委員長。公平さが求められる立場ですが、過去には物議を醸したことも。6年前の国会では、裁量労働制の拡大を目指す政府のデータに誤りがあった問題で、委員会は大荒れに。予算審議の終局に反対する野党をよそに、委員長の権限で採決が強行されたこともありました。 予算委員長のポストを野党が握れば、政府与党が反対を押し切って予算案を通すのは難しくなります。野党側からしてみれば、予算審議を盾に、与党との交渉を有利に進められるメリットが見込まれます。 立憲民主党 笠浩史国対委員長 「数の力で押し切る国会の形骸化、あるいは国会の軽視という姿勢がたびたびあった。もうそういったことは今後絶対に許さないし、国民の皆さんの負託に応えるだけの十分なしっかりとした熟議を重ねていきたい」 ■“強い権限”野党に 今後の国会は 予算委員長とはどんな権限を持ち、今後どう影響するのでしょうか。 予算案の審議はもちろん、政権のスキャンダル追及の舞台ともなってきたのが予算委員会です。その重要な運営を取り仕切る予算委員長には強い権限が与えられています。 例えば、開会の日時や発言時間を決める権限、委員が規則に従わない場合などに発言を禁止したり退場を命じることができる権限。そして表決に付する、つまり採決ができる権限などです。 政治部官邸キャップ 千々岩森生記者 「特に重要なのが日程を決め、採決を行うこと。委員長が与党なら審議の主導権を握り、場合によっては“強行採決”もできた。ただ、委員長が野党になれば、与党の“思い通り”の採決はできなくなる」 政治部官邸キャップ 千々岩森生記者 「もう一つ重要なのは、答弁者を指名できること。質問者が総理に答弁を求めても、他の閣僚や官僚を指名して総理を“守る”ことができた。ただ、委員長が野党になれば、そうした手段は取れず、総理をターゲットにした質問が延々と続く可能性もある」 強い権限を持つポストを野党に明け渡すことになると、今後の国会運営にも影響は出てきそうです。 今後のスケジュールを見てみると、政府与党は臨時国会で補正予算案の審議をして、年内成立を目指す考えです。そして、年明けからは来年度予算の審議も始まります。 政治部官邸キャップ 千々岩森生記者 「与党側は今後、野党側の要求もくみながら国会運営にあたる必要が出てくる。事前に与野党が協議し双方が納得する予算を編成するか、審議の中で野党の要求をくんで修正・成立させるしかなく“異例の国会”となるのでは」