2023年4月30日日曜日
シリコンバレー銀破綻、金融当局は「脆弱性を理解せず」…FRBが100ページ超の報告書
【ワシントン=田中宏幸】米連邦準備制度理事会(FRB)は28日、3月に経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)への監督や規制を検証する報告書を公表した。金融当局がSVBの 脆弱ぜいじゃく 性を十分に理解せず、迅速な監督が機能しなかったと総括した。資産規模1000億ドル(約13・6兆円)以上の中堅銀行への規制を見直す考えも示した。
米上院の公聴会で証言するFRBのマイケル・バー副議長(3月28日)=ロイター
検証を主導したFRBのマイケル・バー副議長は「SVBに対する規制基準は低すぎた」と振り返り、「FRBの監督と規制を強化しなければならない」と強調した。
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報告書は100ページ以上に及び、「10年以上にわたる銀行システムの安定と銀行の好調な業績が、銀行家の過信と監督当局の過剰な受容を招いた」と指摘した。SVB経営陣のリスク管理がずさんだったことを批判したうえで、急速な成長に規制強化が追いつかず、金融当局側の対応が遅れたことを認めた。
また、トランプ前政権時代に緩和された金融規制が効果的な監督を阻害しているとし、より強い基準を広範な企業に適用することが適切との見方を示した。資産規模が1000億ドル以上の銀行に適用される規制や、資本要件の見直しなどを検討することを明らかにした。
このほか、資本計画やリスク管理が不十分な銀行に対しては、金融当局が追加の資本や流動性を求める可能性を指摘した。SNSを通じて急速な預金流出が起きたことにも言及し、変化する技術や新たなリスクへの対処が必要だとした。
ただ、FRBが示した一連の規制方針に対し、共和党や銀行業界などからは反発の声も出始めている。今後、金融規制に向けた動きがスムーズに進むかは見通せない状況だ。
SVBは、FRBが進めてきた急速な利上げで米国債など保有する債券の価格が下落し、巨額の含み損が生じたことで破綻に追い込まれた。リスクを見抜けなかった金融当局にも批判の声が高まった。
一方、米連邦預金保険公社(FDIC)も米シグネチャー銀行(ニューヨーク州)の破綻を検証する報告書を公表し、「人員不足で適切な監督ができなかった」と対応の不備を認めた。
破綻の原因については、「適切なリスク管理を取らず、無制限の成長を追求した」とシグネチャー銀の経営陣を批判。暗号資産の価格下落による預金流出への備えが不十分だったと指摘した。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230429-OYT1T50136/
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