https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240529/k10014464801000.html
日銀 ETF「含み益」37兆円余 株価の値上がり影響で2倍以上に
日銀が大規模緩和策の一環として買い入れていたETF=上場投資信託の含み益が株価の値上がりの影響で1年前に比べて2倍以上に膨らみ、37兆円余りに上ったことが分かりました。
日銀は29日、昨年度1年間の決算を発表しました。
それによりますと、大規模緩和策の一環として買い入れを続けてきたETFの保有額は、ことし3月末の時点で時価で74兆4982億円でした。
前の年の同じ時期より20兆円余り増え、このところの日本の株価の上昇傾向が反映された形です。
この結果、簿価との差のETFの「含み益」は、37兆3120億円と前の年の同じ時期と比べて2倍余りに膨らみ、年度末として過去最大となりました。
日銀が保有するETFをめぐっては、政策の財源とする案などさまざまな活用策が浮上していますが、日銀の植田総裁は、取り扱いの方針を時間をかけて決める考えを示しています。
一方、日銀の国債の保有額はことし3月末の時点で国庫短期証券を含めて589兆6634億円と前の年の同じ時期と比べて1.4%増加し、年度末としては過去最大でした。
国債の買い入れは、ことし3月に大規模な金融緩和策を転換したあとも続いていて、市場では、日銀が国債の買い入れを減額する時期が焦点となっています。
///////////////////////////////
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-29/SE7ZEMT1UM0W00
日銀保有国債の含み損9.4兆円と大幅増、金利上昇が影響-23年度決算
伊藤純夫- ETF評価益37兆円に拡大、当期剰余金2.3兆円-いずれも過去最高
- 国庫納付金も2兆1728億円と最高記録、自己資本比率11.17%に上昇
日本銀行が保有する国債の2023年度末の含み損は前年度から大きく膨らんだ。日銀が金融政策の正常化を進める中、物価上昇などを背景とした金利の上昇(価格は下落)が影響した。評価損は2期連続。
日銀が29日発表した23年度決算によると、保有国債の含み損益は9兆4337億円のマイナスとなった。上半期(9月末)時点で10兆5000億円のマイナスと過去最大に膨らんでいた。22年度末の含み損は1571億円だった。
日銀は保有国債の評価方法として償却原価法を採用しており、時価が変動しても損益には反映されない。
日銀は昨年7月にイールドカーブコントロール(YCC)の運用を柔軟化し、国債買い入れの指し値オペ水準を従来の0.5%から1%に引き上げた。10月には1%を「めど」とし、1%を超える取引を容認した。今年3月には利上げを決定し、マイナス金利を解除。長期金利は23年3月末の0.3%台から11月には一時0.97%までに上昇。今年3月末は0.7%台だった。
植田和男総裁は2月22日の衆院予算委員会で、金利全般が1%上昇した場合、日銀が保有する「国債の評価損は約40兆円程度発生する」と説明していた。
一方、保有する上場投資信託(ETF)の含み益は3月末時点で37兆3120億円に拡大。日本株がバブル崩壊後の高値を付ける中で過去最高となった。
23年度の最終利益に当たる当期剰余金は2兆2872億円と、前年度に続き1998年の新日銀法の施行以降で最高を更新した。ETFの運用益や国債の利息収入、円安進行に伴い外国為替関係益が増加した。この結果、剰余金から法定準備金積み立てと配当金を除いた国庫納付金は2兆1728億円と過去最高となった。自己資本比率は11.17%に上昇した。