2022年2月28日月曜日
ロシア、金利2倍の20%に上げ ルーブル急落で防衛
ロシア、金利2倍の20%に上げ ルーブル急落で防衛
ウクライナ侵攻
2022年2月28日 16:03 (2022年2月28日 18:16更新)
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白井さゆりさん他3名の投稿
白井さゆり滝田洋一梶原誠
27日、サンクトペテルブルクでATMに並ぶ市民=ロイター
【モスクワ=桑本太】ロシア中央銀行は28日、政策金利を従来の9.5%から20%に引き上げると発表した。利上げは11日の金融政策決定会合以来で、2月に入って2回目になる。ウクライナ侵攻による米欧の経済制裁で通貨ルーブルが急落し、28日には過去最安値を更新した。通貨安に伴うインフレ加速を抑えるため、緊急の利上げに踏み切った。
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政策金利が20%台になるのは2003年以来およそ19年ぶりだ。国際決済銀行(BIS)などによると、アルゼンチンの42.5%に次いで高く、トルコの14%を上回る水準だ。
米欧はロシアの中央銀行にも初めて制裁を科し、外貨準備の取引を制限する厳しい措置を決めた。為替介入が難しくなるとの見方から、28日の外国為替市場では通貨ルーブルが急落。ドルに対しては一時1ドル=120ルーブル近辺と過去最安値を更新した。ロシア中銀の利上げ発表後も、なお安値圏で推移している。
ロシアでは28日、ルーブル安を懸念しドルを早めに手元に確保しようという動きも強まった。週末にはモスクワの都市部など一部のATMには預金を引き出そうと行列ができた。ロシア中央銀行はモスクワ証券取引所の同日の株式取引を終日見送ると発表。3月1日の取引については28日の現地時間午前9時(日本時間午後3時)に方針を公表する。非居住者の証券売却を禁じており、日本からは売却できなくなっている。
すでにロシアのインフレ率は1月時点で8.7%と中銀目標の4.0%を大幅に上回る。エネルギーや食料品価格の高騰に加え、ルーブル安で輸入物価の上昇を通じてインフレに拍車がかかる可能性が高まっている。ロシア中銀は大幅な利上げで通貨安に歯止めをかける狙いだが、急激な利上げは金利上昇を通じて国内経済を冷やす恐れもある。
ロシア財務省とロシア中銀は輸出企業に対し、対外貿易での売上高の80%に相当する外貨を強制的に売却することを義務付けることも決めた。28日から導入する予定で、外貨の売却によりルーブル安を抑える狙いだ。
過去にロシアでは、チェチェン紛争が激化していた1990年代前半に政策金利は210%まで上昇。その後20%台まで下がる局面もあったが、98年には膨張した財政赤字に対処するため150%まで引き上げた。株価、債券、通貨がそろって下落する「トリプル安」に見舞われ、ルーブル危機に陥った。99年にはインフレ率が85%台まで上昇したが、プーチン氏がはじめて大統領に就任した2000年以降は、インフレの抑制に成功している。
今回もプーチン大統領は国民生活を圧迫するインフレを警戒する。ウクライナへの侵攻を決める前の2月17日の政府会合では「インフレ抑制に向けて効果的な対策を講じる必要がある」として政府と中銀の協調を求めていた。
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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分析・考察ロシアの中央銀行が本日すぐ対応したのは当然であろう。ルーブルが対ドルで急落し、2014年のクリミア併合時よりもルーブルの価値は大きく下落している。ロシアへの大規模制裁に躊躇していた欧州連合が思い切って過去最大の厳しい制裁を発動したことが大きい。SWIFTからのロシア大手銀行の除外とロシア中央銀行が西側の中央銀行に預けるドル、ユーロ、ポンドなどの国際通貨とそれらの通貨建て証券を利用できなくしたため、ルーブル防衛手段が政策金利の大幅引き上げしかないからだ。それでもルーブルは大きく下落しインフレは現在9%弱程度だが、今後大きく上昇していくだろう。ロシアの行動は市民と企業に大きな負担を強いている。
2022年2月28日 17:04 (2022年2月28日 20:01更新)
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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説ロシアは制裁慣れしているので、制裁しても効果は小さい。制裁で返り血を浴びるのは西側だーー。そう語っていた「専門家」の見解を改めてうかがいたい気持ちがします。
従来、ロシアが制裁に耐えられたのは、自らに理があると思っていたからこそ。いまやウクライナのロシア軍は、無名の師つまり名分のない戦争の落とし穴にはまりつつあります。
大変な目に遭っているロシア市民。その怒りが政権に向かうと、プーチン政権の足元が揺らぎます。中国の後ろ盾が頼りでしょうが、利にさとい習近平氏のこと。泥舟救済の見返りは、ロシア資源などの差し押さえでしょう。
2022年2月28日 18:05 (2022年2月28日 18:47更新)
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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説ロシアの軍事的な攻撃に西側が金融戦争で応じる構図です。第2次世界大戦でも米軍がフィリピンで大量の偽札をばらまき、インフレが日本守備隊の物資調達コストを高めて苦しめたことが知られています。このとき日本側は金貨を準備して対応しました。ロシアの人々はルーブル暴落に備え、金ならぬレクサスを買って備えるだろう--。こんな読みが侵攻前にありました。実際はどうだったのでしょうか。
2022年2月28日 17:46いいね
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高井宏章
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察急激なルーブル安は対ロ経済制裁が大きな効果を上げている証左です。国家と通貨に対する信頼が崩れている現状では利上げの通貨防衛効果は極めて限定的でしょう。
今後、注意すべきは2点。
まず、経済制裁が深刻な打撃となるほど、ロシアにとって軍事行動と変わらない脅威になることです。独裁国家では失脚は指導者にとって生死の分かれ目になりかねない。「逃げ口」がなくなると、プーチン氏が破れかぶれの危険な橋を渡るリスクが高まります。
もう一つは他国への波及。世界の金融システムは網の目のように繫がっています。ロシアの通貨危機が、特に脆弱な新興国に連鎖的なショックをもたらすリスクにも目配りが必要です。
2022年2月28日 17:01
Syrian Salvation Government
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