2022年3月8日火曜日
首相、北方領土は「固有の領土」…ロシアへの配慮不要となり直接的表現に軌道修正【読売新聞】
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220307-OYT1T50283/
政府は、ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、対露政策の軌道修正を迫られている。日露の北方領土問題を含む平和条約交渉は停滞し、経済協力の進展も見通しが立たないためだ。
参院予算委員会でウクライナ情勢などについて答弁する岸田首相(7日午前、国会で)=源幸正倫撮影
岸田首相は7日の参院予算委員会で、北方領土に関する日本政府の認識を問われ、「『固有の領土』『主権を有する領土』、ともに我が国の対応だ」と述べた。「この用語を使い分けた記憶はない」とも語った。
外務省のホームページやパンフレットは、北方領土を「日本固有の領土」と表現する。ただ、安倍内閣では平和条約交渉の進展を期待し、ロシアを刺激することを避け、この表現を控えていた。2019年2月には平和条約交渉を巡り「北方4島を日本固有の領土と考えるか」との質問に、政府は「今後の交渉に支障を来す恐れがあることから答えは差し控えたい」との答弁書を閣議決定している。
政府関係者は「国会答弁では『主権を有する領土』との表現が多かった」と話す。首相がより直接的な表現の「固有の領土」に言及したのは、ロシアに配慮する必要がなくなったためとみられる。
与野党からは、16年9月に新設され、経済産業相が兼務する「ロシア経済分野協力担当相」にも批判が集まる。自民党の衛藤征士郎外交調査会長は先月の党会合で「この時期に一国の名前を冠した担当大臣はいかがなものか」と苦言を呈した。立憲民主党の杉尾秀哉氏も今月2日の参院予算委で廃止を求めたが、首相は「引き続き職責を果たしてもらいたい」と述べるにとどめた。
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