2022年10月6日木曜日
財政出動は単なる「呼び水」であって経済発展の「原動力」ではない
「それで需要が生まれれば企業は投資をして連鎖をしていく・・・」
というバラ色的なところがMMT信仰の特色。残念ながら、一時的な財政出動が必ずしも経済発展の歯車を回すとは限らないというのが現実。もし経済がそんな単純なものなら、世界中がヘリコプターで金をばらまいてる。
「経済成長している国はそれ相応に財政出動してる・・・」
経済成長と財政出動に相関性があるとしても、それが果たして財政出動が原因となって経済成長という結果が生まれたのか、それとも、経済成長が原因となって財政出動(社会福祉の増大)という結果が生まれたのか、そのどちらかは一概には言えない。
新しい考えは、そう簡単に切り捨てない方がいいよ。
家庭が豊かになったら、いままで受けれなかった治療が受けれるようになる。会社が成功すれば、賃金を上げたり、あたらしい労働者を雇うことができる。国家の経済が発展すれば、あたらしい道路や鉄道や社会福祉が増大する。
逆に、新しい道路や鉄道やビルディングをつくっても、かならなずしも、それが経済発展につながるとは限らない。むしろ、そのことによって経済が崩壊するかもしれない、たとえば夕張市のように。
同じデータだよ。データそのものには因果関係はない。因果関係はデータ解釈の問題。同じデータに対してMMTとは違う解釈を示しただけ。(これだけで理解できなかったら、以下に説明する)
GDP = C + I + G + X - IM(GDPの等式)
MMT信者はこの等式から「G(財政出動)を増やせばGDP(経済力)が増える」と解釈する。
しかし等式は因果関係をしめしているわけではない。「GDPが増えたので右側のどれかが増えた」とも解釈することも可能だと言っているんだ。
その例として、「家庭が豊かになった(GDPが増えた)ので新しい治療を受けられた(Cが増えた)」とか「国が経済成長した(GDPが増えた)ので社会福祉(G)が増大した」というエピソードを示したわけだ。
問題はMMTのその能天気ぶりだといってるの。財政出動さえすればお花畑が展開すると思い込んでいる。MMT信仰。
涸れた井戸のポンプに呼び水を注入しても水は出てこない。(そして信仰だけで注入していると呼び水もなくなる。)ガソリンのない車のスイッチをいくら押しても、エンジンはかからない。(そして信仰だけでスイッチを押し続けるとやがてバッテリーも消耗する。)燃料のないところにいくら点火を試みても、燃え上がる炎は出現しない。(信仰だけでそれを続けていると、マッチもなくなる。)公的資金をつぎ込んで破産した夕張市のように。
財政出動は単なる「呼び水」であって経済発展の「原動力」ではないことにMMT信者は気づいていない。いや、どうやらその事実を認めたくないらしい。経済発展には人間の努力が必要だが、財政出動(お金を刷ってバラまくこと)には人間の努力は必要ないからね。努力なしに救われることを望むのは信仰。
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