https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/mac.20150317
『アメリカンエコノミックジャーナル:マクロ経済』誌の2019年号に発表された論文「為替介入はどんな時に有効かー33か国からのエビデンス」という論文では、「為替介入は広く行われており、政策ツールとして有効である。成功率はおよそ80%にも上る」と結論しています。
ここで「成功」と言っているのは「為替レートの変動を鎮静化(stabilize)させること」です。財務省や日銀が為替介入の理由について必ず発言していることは「急激な変動」への対応ですが、雑誌の「鎮静化(stabilize)」とほぼ同じ意味だと言えます。日銀の黒田総裁も「円安が穏やかであれば、円安は日本経済にとってプラス」と繰り返し述べています。 つまり、論文の主旨は、為替介入の目的が、変動(円高傾向や円安傾向)をストップさせたり逆方向へ転換させたりすることではなく、急激な変化をゆるやかにすることを目指している場合、その成功率はかなり高い、ということですが、日本の為替介入目的もまさにそれに合致するわけです。 ところで、今回の日本の為替介入は、その意味で、いまのところ成功していると言っていいと思います。大型介入直前9月21日では1ドルあたり144.31円でしたが、現在(10月30日)は147.45円です。この40日間に3.14円(2.1%)安になっています。介入前の40日間の変動はというと、8月10日では1ドルあたり132.83円でしたが、それが40日後には144.31円になっています。その40日間では11.84円(8.6%)安になっています。つまり、介入後の円安幅は介入前と比べて、11.84円(8.6%)から3.14円(2.1%)へと、かなり抑えられている結果(ほぼ4分の1)となっています。