2024年11月30日土曜日

石破首相の所信表明演説 全文

 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241129-OYT1T50143/


(1)政権運営の基本方針

(民主主義のあるべき姿)

「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に   していくようにしなければならない」

 これは、1957年2月の石橋湛山内閣施政方針演説の一節です。

 この言葉に示されているとおり、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、 真摯 しんし に政策を協議し、よりよい成案を得ることだと考えます。

 先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第1党として、自民党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく、取り組んでまいります。

(2)三つの重要政策課題への対応

 全ての国民の幸せを実現するため、三つの重要政策課題への対応を進めます。

<1>首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策

(基本的考え方)

 まず第一は、外交・安全保障上の課題への対応です。国際秩序に大きな挑戦がもたらされています。ロシアによるウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮の兵士がウクライナに対する戦闘に参加しています。中東地域で続く報復の応酬は  いま だに終わりが見えません。

 我が国周辺に目を転じれば、今年後半だけを見ても、中国、ロシアの軍用機が我が国領空を相次いで侵犯したほか、中国空母が我が国領海に近接する海域を航行しました。戦闘機を含む中国空母2隻の艦載機は約1200回に及ぶ発着艦を太平洋で行いました。ロシアの哨戒機は我が国を周回する飛行を行いました。北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含め、近年かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。

 こうした厳しく複雑な国際社会においても、国家のかじ取りを行うにあたっての基本は変わりません。すなわち、我が国としての、そして同盟に基づく抑止力・対処力を維持・強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことです。これにより、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持してまいります。

(首脳会談の成果)

 私は、先般、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、ブラジルでのG20(主要20か国・地域首脳会議)に出席し、自由貿易体制の維持・強化、飢餓・貧困の撲滅といった国際社会の諸課題につき、我が国の理念、施策を発信するとともに、各国首脳との間で個別に意見交換を行いました。

 アメリカ合衆国のバイデン大統領とは、今後も、揺るぎない日米同盟を更に発展させていくことで一致しました。

 合衆国では、来年1月には第2期トランプ政権が発足します。日米安保体制は、我が国の外交・安全保障政策の基軸です。しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ています。

 当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高めあうことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます。トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。

 韓国の 尹錫悦 ユンソンニョル 大統領とも、来年、国交正常化60周年を迎える中、首脳会談も頻繁に行い、日韓関係を大いに飛躍させる年にしよう、ということで一致しました。日米韓3か国の首脳会談も行いました。

 中国の 習近平 シージンピン 国家主席とも、かみ合った議論を行うことができたと感じています。日中間には様々な懸案、意見の相違があります。首脳会談の際、私からは、中国軍の活動の活発化や深圳での児童殺害事件など、我が国の有する懸念について率直に提起をいたしました。また、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大も求めました。私が指摘した短期滞在の日本人への査証免除再開については、既に中国側から30日に開始するとの発表がありました。

 このように、諸課題について、主張すべきことは主張する。しかし、その上で、協力できる分野では協力していく。それが私の考える国益に基づく現実的外交です。中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習主席とも確認した、「戦略的互恵関係」の包括的推進、「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。

 日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。

(防衛力の抜本的強化)

 外交と防衛は車の両輪です。

 私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進めるとともに、同盟国・同志国との連携を更に深めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。

 防衛力の最大の基盤である自衛官の充足が約90%にとどまっていることは、極めて深刻な課題と認識しています。自衛隊の人的基盤の強化に向け、私を議長とする関係閣僚会議を既に3回開催し、議論を重ねています。隊員の生活・勤務環境の改善等、早急に実現可能な方策は経済対策に盛り込み、併せて、若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計を確立し、退職後も社会で活躍するための施策の方向性についても、年内に結論を得て、可能なものから2025年度予算に盛り込みます。

 沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます。普天間飛行場の一日も早い返還を実現するため、辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に基づき、着実に工事を進めてまいります。沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感していただけるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続します。

 加えて、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めるとともに、駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます。

 サイバー攻撃の脅威は差し迫った課題であり、有識者会議の提言も踏まえ、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させるための法案を、可能な限り早期に国会に提出するべく、検討を更に加速します。

(拉致問題)

 拉致問題は、単なる誘拐事件であるにとどまらず、その本質は国家主権の侵害です。拉致被害者やそのご家族がご高齢となる中で、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。国家としての、また、私自身の断固たる決意の下、その解決に取り組んでまいります。先に述べました日米、日韓の首脳会談においても、引き続きの連携を確認いたしました。

<2>日本全体の活力を取り戻す

(基本的考え方)

 重要政策課題の第二は、日本全体の活力を取り戻すことです。人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下しています。こうした状況は、我が国の経済・社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少につながりかねません。

 この流れを反転させるため、地域の活力を取り戻す地方創生の再起動、経済の活力を取り戻す「賃上げと投資が 牽引 けんいん する成長型経済」への移行、全世代型社会保障の構築、この三つの取り組みを強力に進めてまいります。

(地方創生2・0)

 地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の、多様な幸せを実現するための社会政策です。元気な地方から元気な日本を作る試みは、多くの点となって息づいていますが、未だ全国的な広がりには欠けています。これを集めて面にして、やがては日本中の皆様に、「面白い」、「楽しい」という思いを広げていかなければなりません。

 ・宮崎県小林市では、フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークな我が「まち」紹介動画を作成し、話題となりました。これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したものでした。 故郷 ふるさと を離れてしまう前に、故郷に誇りを持ってほしい、そして故郷のために活躍してほしいとの当時の市長の願いからでした。

 ・鹿児島県伊仙町では、町長が集落を回り、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者から、子供たちのためにもっとお金を使ってほしいとの意見がでました。出産や子育て環境を充実させ、2003年から2012年までの間、合計特殊出生率日本一となる、「2・42」、「2・81」を実現しました。

 これらを決して、一つの「まち」の物語にとどめてはなりません。日本中の同じ課題を抱えている皆様と、これまでの地方創生の成功事例から学び、「産官学金労言」で英知を集め、我が「まち」を輝かせるため、共に取り組んでいく所存です。デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めていきます。

 「地方創生2・0」を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増します。新しいICT(情報通信技術)もフル活用しながら、持てるポテンシャル(潜在能力)がまだまだ眠っている地方の農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化を進めるとともに、新たな重点として文化芸術・スポーツの振興にも取り組みます。来年4月に開幕する大阪・関西万博の機会も最大限に活用します。

 この夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しいところです。人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保します。農林水産業に携わる方々が安心して再生産でき、食料システム全体が持続的に発展し、活力ある農山漁村を後世へ引き継げるよう、施策を充実・強化します。

 地方の取り組みが花開くためには、国としての環境整備も必要です。GX(グリーントランスフォーメーション)の例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力に  つな がる動きが始まりつつあります。投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模の先行投資支援を行い、官民で150兆円を超えるGX投資を実現します。GXによる産業構造や産業立地の将来像について、2040年に向けたビジョン(展望)を年内に示し、核となる拠点を広げていきます。エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画もまとめてまいります。

 「地方創生2・0」には、魅力ある働き方・職場づくりも重要です。男女間の賃金格差が地域によって異なる中、若者や女性が安心して暮らせる「働き方」とは何か。非正規雇用の方の正規化をどのように進めるか。時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も大いに活用すべきです。女性の雇用における「L字カーブ」の解消、男性の育児休業の推進にも取り組み、社会の構造・意識の変化につなげてまいります。

 「人づくりこそ国づくり」。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めます。

(経済全体の活力)

 30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です。そして、1位だった国際競争力は、今、38位に落ちました。配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました。デフレ経済の中、雇用は安定してきたが、給料は上がらない、安い商品はあるが、革新的な商品・サービスはあまり生まれてこない、という状況だったのではないでしょうか。しかし、ようやく約30年ぶりの高い水準の賃上げと、過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが現れています。コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換を進めなければなりません。ドイツや韓国と比較すると、GDPに占める輸出の割合が低い我が国においては、経済安全保障の観点からも、付加価値の高いサプライチェーン(供給網)を国内に回帰・立地させていくことも重要です。

 先般の政労使の意見交換において、約30年ぶりの高い水準となった今年の勢いで、来年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を、私から要請しました。また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を、関係閣僚に指示しました。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)を切り口として、日本の潜在的な強みであるAI(人工知能)、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーションとスタートアップの支援、スキル向上などの人への投資を進めてまいります。

 今こそ、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現し、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国としてまいります。

(社会保障等)

 これらの取り組みとあわせて、子育て支援を強力に推進するとともに、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を構築します。本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者を始め女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う、全世代型の社会保障を構築していきます。今月、関係大臣には「改革工程」に掲げられた事項の具体化を指示しました。丁寧な議論を行って、実現できる項目から着実に実施してまいります。

 来月2日には健康保険証の新規発行が終了します。(マイナンバーカードと一体化した)マイナ保険証の利用を促進しつつ、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、これまでどおり診療が受けられるようにしています。国民の皆様の不安には迅速に応え、丁寧に対応するというのが私の考えです。

 「経済あっての財政」との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に 強靱 きょうじん な経済・財政を作っていきます。

<3>治安・防災

(基本的考え方)

 重要政策課題の第三は、治安・防災への更なる対応です。国民お一人お一人に、生き生きと、充実した日々を送っていただくための基盤となるのは、安心・安全な社会です。

(「防災庁」・防災対策)

 地理的な条件が不利であり、財政的にも厳しい地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということは、国家としてあるべき姿ではありません。避難所での生活環境を改善し、災害関連死を防ぐためにも、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準を、発災後早急に、全ての避難所で満たすことができるよう、事前防災を進めてまいります。また、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを2倍に加速します。

 能登半島地震・豪雨での教訓も踏まえ、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーなどの迅速な派遣のための官民連携による登録制度の創設、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材・物資の分散備蓄、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設など、避難者の皆様の生活環境の向上のため、最大限の対応をしてまいります。被災者が災害関連の各種申請を容易に行うことができるよう、更なる改善に取り組みます。

 被災地では、自身も被災者でもある自治体職員の負担を軽減しつつ、災害対応に万全を期する必要があります。他の自治体に派遣する職員に対する訓練や、職員派遣による経験の蓄積を促進するとともに、特に大規模な災害については、あらかじめ支援自治体を定めるなどの準備も進めてまいります。

 政府における体制も着実に強化します。内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化することに加え、被災者の方々の声を必ず施策に反映させるとの強い思いから、11月1日に立ち上げた「防災庁設置準備室」において、2026年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進めてまいります。

(東日本大震災からの復興)

 「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」

 全閣僚が、こうした決意の下、被災者の生活や産業・ 生業 なりわい の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進に、全力で取り組んでまいります。

(治安対策)

 最近、いわゆる「闇バイト」による強盗・詐欺の報道を見ない日はありません。他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはなりません。

 悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層推進してまいります。学校での啓発活動、若者に向けたSNSによる情報発信等を強化するとともに、「闇バイト」を募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めてまいります。防犯カメラ等の整備、青パトによる活動などを国としても支援し、町ぐるみの防犯対策を更に促進してまいります。また、性暴力、DV(家庭内暴力)、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。

(3)経済対策・補正予算

 国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じていただくためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要です。そのことを最重要課題として、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を策定しました。

 第一に、日本経済・地方経済の成長です。

 家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。まず、最低賃金の引き上げに取り組むほか、中小企業をはじめとした事業者の皆様方が確かに  もう かり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化・デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化・成長のための支援を充実します。

 地方の皆様方が希望と幸せを感じていただくことも重要です。地方創生の「基本的な考え方」を年末までにとりまとめますが、地域活性化とあわせて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きなムーブメントを作り出していくため、いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、地方創生の交付金を倍増しつつ、前倒しで措置します。

 将来も継続的に所得が増加する手立てを講じておくことも必要です。資産運用立国及び投資立国を実現します。今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出します。経済安全保障の強化や、リスキリング(学び直し)を含む人への投資も促してまいります。

 第二に、成長型経済への移行にあたり誰一人取り残されないようにすることが重要です。

 賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現までの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要です。低所得者世帯の方々に対し給付金の支援を行います。地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにします。

 家庭の電力使用量の最も大きい1月から3月の冬季の電気・ガス代を支援します。

 エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現のため、クリーンエネルギー自動車の購入支援や省エネ性能の高い住宅へのリフォームを支援します。

 第三に、国民の安心・安全の確保です。

 国民の皆様方が豊かさを感じられるのは、安心と安全があればこそです。

 能登地域の皆様が受けた地震・豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速します。災害廃棄物処理の加速化、公営住宅の建設などの生活再建を進め、被災事業者の生業の再建を後押しします。防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。シェルターの確保等により国民保護の取り組みを強化します。

 以上申し上げてきた、経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってまいりました。いわゆる「103万円の壁」については、2025年度税制改正の中で議論し引き上げます。いわゆる暫定税率の廃止を含む「ガソリン減税」については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。

 政府としては、この経済対策をできるだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出いたします。そして、国会でのご審議をいただき、早期の成立を目指します。

(4)政治改革への対応

 先の選挙結果は、主権者である国民の皆様からの、政治資金問題や改革姿勢に対する 叱責 しっせき であったと受け止めております。「政治は国民のもの」との原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら、政治改革に取り組んでまいります。

 政党から議員に支出され、その先の具体的な使途が公開されていない政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第三者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めてまいります。

 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文書通信交通滞在費の使途公開及び残金返納に向けて、既に国会でご議論いただいているところです。

 国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、年内に、必要な法整備も含めて、結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意、尽力してまいります。

(5)憲法改正

 憲法改正については、私自身、これまで長らく衆院憲法審査会の委員を務め、議論に参加してまいりました。国会による発議の実現に向け、今後、衆院及び参院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。

(6)結語

 石橋湛山内閣の施政方針演説では「常に国家の永遠の運命に思いをいたし、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしていくように努めたい」とあります。

 外交においても、内政においても、国民の後押しほど大きな力はありません。国民の皆様に信頼をいただけるよう、誠心誠意取り組んでまいります。

 国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

Fact sheet for “Causes of differences between model and satellite tropospheric warming rates”

https://pcmdi.llnl.gov/research/DandA/Synthetic%20Microwave%20Sounding%20Unit%20(MSU)%20temperatures/2017/Nature_Geoscience/NG_Fact_sheet_v3.pdf 


### 質問1: 論文で取り上げている主な問題は何ですか?

**回答**: 私たちの論文では、地球の大気の最下層(対流圏)の気温の全球平均変化について、衛星と気候モデルの推定値を調査しています。この論文では、衛星観測による大気温度データ(1979年1月~2016年12月)の期間において、モデル化された対流圏の温暖化率と観測された温暖化率の間に違いが生じる理由を理解しようとしています。


これらの違いには興味深い時間的特徴があります。20世紀の最後の20年間では、モデル化された温暖化と観測された温暖化の違いは一般的に小さかったですが、21世紀初頭のほとんどでは、モデルでの平均的な温暖化が観測より大きいという結果が見られました。


私たちは、このようなモデル化された温暖化率と観測された温暖化率の違いが、気候システムの自然内部変動によって説明できるかどうかを検討しました。自然内部変動は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象、太平洋や大西洋における10年規模の振動(太平洋十年規模振動や大西洋多年代規模振動)などから生じます。


その結果、20世紀末の2つの温暖化率の小さな違いの多くは、自然内部変動で説明可能であることがわかりましたが、21世紀初頭にモデルでの対流圏の温暖化が観測データよりも大きい理由を完全に説明することはできませんでした。


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### 質問2: 結論的な発見は何ですか?

**回答**: 結論として、モデル化された対流圏の温暖化と観測された温暖化の違いには、有益な診断情報が含まれていることがわかりました。この情報を使用して、これらの温暖化率の違いの原因に関する仮説を検証しました。


1つの仮説は、内部変動だけでモデルの対流圏温暖化が観測されたデータより大きい理由を説明できるというものです。しかし、私たちの結果は、この仮説が正しい可能性は非常に低いことを示唆しています。


私たちの結果に基づくと、21世紀初頭におけるモデルと観測の温暖化率の違いは、以下の2つの要因の複合的な影響による可能性が高いです。


1. 内部変動の動作におけるモデルと実世界のランダムな違い。

2. 21世紀初頭に実世界の気温に影響を与えた外部冷却要因の一部が、モデルシミュレーションで正確に表現されなかったこと。


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### 質問3: 論文で言及している「外部冷却要因」とは具体的に何ですか?

**回答**: このような外部冷却要因の例としては、以下のものが含まれます。


- 一連の中程度の火山噴火。

- 太陽活動周期の最後に見られた長期にわたる異常に低い太陽放射。

- 中国の石炭火力発電所からの粒子状物質汚染の増加。


モデルシミュレーションは、これらの外部冷却要因が21世紀初頭にどのように進展したかについての最新で信頼性のある情報が利用可能になる前に実行されました。


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### 質問4: これらの外部冷却要因の表現における問題は、人為的な温室効果ガス(GHG)の増加に対するモデルの感度に体系的なエラーがあることを示しているのですか?

**回答**: いいえ、まったく違います。ここで取り上げているのは、モデルシミュレーションで使用された外部の気候に影響を与える"強制因子"に関する既知の、よく研究された問題です。これらの問題は、モデルがGHGの増加にどのように感度を示すかという問題とは関係ありません。


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### 質問5: 一部の科学者は、21世紀初頭に観測されたデータよりもモデルの温暖化が大きい理由が、モデルの過剰な感度によるものだと主張していませんか?

**回答**: はい、そのような主張はこれまでにもあり、現在も続いています。私たちの論文では、この「過剰感度モデル」仮説を検証しましたが、モデル化された対流圏の温暖化と観測された温暖化の実際の違いを説明するものではないことがわかりました。また、「過剰感度モデル」と自然内部変動の組み合わせでも、違いをもっともらしく説明することはできませんでした。


私たちの発見は、地球の対流圏や表面の長期的な温暖化の現実や、将来のGHG濃度の増加による予想される温暖化の量に疑問を投げかけるものではありません。


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「台風の進路を翌日まで正確に予測すること・・・には高い不確実性がある」

 


「まとめ:(台風の)進路予報(には)依然として不確実性が存在(する)・・・」


ということだったら問題はなかったのですが、でも、まさか、そんなことを主張されているのではなかったと推察します。なぜなら、そんなことは、わざわざ教えてもらわなくても、だれでも知ってることだからです。


もとのお話は「台風の進路を翌日まで正確に予測すること・・・には高い不確実性がある」ということでした。ここでわざわざ「高い不確実性」という表現を使われていたのにはちゃんとした理由があったのだろうと考えられます。文章の全体から推察してみると、おそらく、現在の科学では翌日の台風の進路予報さえも「高い不確実性がある」のに、「100年後の地球の平均気温を予測する」のことはもっと信頼するに足らない、という主張なんだと。そう解釈しました。


そうすると、いったい天気予報の「不確実性」とはどんなものか、ということが疑問となります。どのくらい不確実なのか。転がしたサイコロの目のように、まったくの当てずっぽうなのか。それとも何らかの合理的な根拠があるのか。「台風進路予報の年平均誤差の一覧表」を見ると明らかにその誤差は年々小さくなっている。技術の進歩によって、不確実性が低下している。そしてなによりも、世界中のひとびとが天気予報を利用している。つまり、天気予報は「当てずっぽう」ではなく、どうやら合理的・確率的な根拠があると考えられます。


しかし天気予報には合理的な根拠があるという考えはお嫌いですよね。

2024年11月29日金曜日

ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士の気候モデルとは

 https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet-gazette/bulletin/634/open/634-06-3.html#:~:text=%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%93%A1%E3%81%AE,%E7%A2%BA%E5%AE%9F%E3%81%AA%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

教養学部報

第634号 外部公開

ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士の気候モデルとは

江守正多

 プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎博士が、クラウス・ハッセルマン博士、ジョルジョ・パリージ博士と共に、二〇二一年のノーベル物理学賞を受賞された。真鍋さんの受賞理由は、「気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測」である。
 真鍋さんは一九五三年に東京大学理学部地球物理学科を卒業され、同大学院で博士号を取得後、一九五八年に米国に渡られた。以来、地球流体力学研究所(GFDL)等において、物理法則に基づくコンピュータシミュレーションによる地球の気候の再現、理解と予測の研究分野を開拓され、第一線でリードされてきた。
 今となってみれば、流体力学を基礎とする既知の物理法則を組み合わせて数値計算を行うことによって、地球の大気・海洋・陸域の気候状態や変動がシミュレートできることは、当然のことのように思える。しかし、それを世界で初めて実際にやってみせるということを想像してみて頂きたい。しかも、当時の限られた計算機能力を用いてである。それは極めて困難な大仕事であったと同時に、極めてわくわくする企てであったに違いない。
 流体力学の方程式を数値計算することによる「数値天気予報」は、米国では一九五五年に実用化されていたそうだ。しかしそれは、「今日」の大気のデータ(気圧や温度の分布)を初期条件として、時間発展を計算することにより、「明日」の大気の状態を予報することだ。この場合、現実的な初期条件からの短時間の摂動だけを解けばよいのであるから、大気中の赤外線の伝達など、ゆっくりと作用する過程を丁寧に解かなくても、概ねよい結果が得られる。真鍋さんが取り組んだのはこれではなく、地球の「気候」―長期間の気象の平均的描像―を、システムの平衡状態として、イチから再現することだった。
 一九六四年の論文で、真鍋さんは大気中の水蒸気、二酸化炭素、オゾンが赤外線を吸収・射出する過程を(オゾンについては太陽放射の吸収も)計算して、気温の鉛直構造の「放射平衡」を導き、これに大気の鉛直対流の効果を加えることにより「放射対流平衡」を求めている。この際、鉛直一様にマイナス一〇〇℃の(非現実的に寒い)初期条件から始めても、プラス一〇〇℃の(非現実的に暑い)初期条件から始めても、時間発展の末に、同じ現実的な平衡状態に行きつくことを確かめている。このように真鍋さんは、地球という惑星の持つ諸条件と物理法則のみから決定される、初期条件によらない平衡状態として、気候を再現し、理解することに拘られた。(余談だが、教養学部基礎科学科第二の第一期生であり、シミュレーション天文学の第一人者である牧野淳一郎神戸大学教授の卒業論文が、真鍋さんに倣った地球大気の放射対流平衡の研究であったことはあまり知られていない)
 この放射対流平衡モデルを用いて、一九六七年の論文では、大気中の相対湿度不変の仮定(その後の研究で、この仮定は現実のよい近似であることがわかっている)の下で、太陽放射の強さ、水蒸気量、オゾンの量、雲の量などを様々に変化させる実験を行い、平衡状態の応答を調べた。これは、システムの理解を深めるための、一連の感度実験もしくは「演習問題」であった。そしてこの中で、二酸化炭素の濃度を二倍と半分にした実験も行った。これが結果的に、世界で初めての本格的な放射計算に基づく地球温暖化の予測実験となったのだ。
 並行して、真鍋さんは、この放射計算を三次元の大気モデルに組み込み、さらに雲・降水過程や陸地表面の水文過程を含む水循環を組み込むなどして、「大気大循環モデル」を完成させた。このモデルでもやはり、どんな初期値から計算を始めても、現実の気候とかなりよく似た気温、降水量、風、気圧などの平均的な分布が平衡状態として再現された。さらに真鍋さんは、このモデルに「海洋大循環モデル」を結合し、「大気海洋結合大循環モデル」を完成させた。これが、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価で気候変動の将来予測等に用いられる気候モデルの原形になったことはいうまでもない。
 現在では、世界中で数十の研究グループが、競うようにして気候モデルの開発を行っている。最新の気候モデルと比較すれば、真鍋さんのモデルはずいぶんとシンプルだ。たとえば、対流性の降水は、湿潤不安定な大気成層を混合する過程で表現されるが、最新のモデルでは、そこは複雑な雲モデルに置き換わっている。同様に、真鍋さんは陸面水文過程を一律に一五cmの深さのバケツ(バケツの水位が高いほど蒸発の効率が上がり、溢れると流出する)で表現したが、最新のモデルでは複雑な植生モデルや河川モデルが用いられる。複雑な気候モデルが登場しはじめて以降も、真鍋さんはシンプルなモデルを使い続けながら、気候システムの本質的な問題を楽しそうに解いていった。
 気候システムの諸過程をシンプルに表現しても、諸過程の間の相互作用は十分に複雑だ。その複雑な相互作用を深く理解するために、モデルはシンプルな方がよいという真鍋さんの信条は、現在においても示唆に富む。真鍋さんのシンプルなモデルは、諸過程の本質を大胆に見抜くことによって成立している。そして、真鍋さんのモデルが気候システムの本質を見事に捉えていたことは、そのモデルによって一九八九年に行われた地球温暖化の予測実験が、その後三〇年間に実際に起きた地球の気温上昇パターンと概ねよく一致していることによって、事後的に裏打ちされたといえるだろう。
 真鍋さんの気候モデル研究は、現実を詳細に再現したり予測したりすることよりも、気候システムの成り立ちや変動の理解を目指したものだ。そのことが結果的に、気候モデルによる気候変動の将来予測の研究にも信頼性をもたらしている。真鍋さんが開拓された、科学的にも社会的にも極めて重要なこの研究分野に自分自身も携われたことを、心から誇りに思う。


トランプ政権のウクライナ和平案、暫定的に休戦ライン引く「朝鮮半島方式」に似た案浮上…双方に大幅な妥協が必要か

 https://www.yomiuri.co.jp/world/20241129-OYT1T50023/

トランプ政権のウクライナ和平案、暫定的に休戦ライン引く「朝鮮半島方式」に似た案浮上…双方に大幅な妥協が必要か

 米国のトランプ次期大統領は27日、新設するウクライナ特使として元陸軍中将のキース・ケロッグ氏を起用すると発表した。ロシアによるウクライナ侵略をめぐり、ケロッグ氏は両国の合意成立時点の戦線で停戦する案を提唱している。トランプ政権の和平案は、暫定的に休戦ラインを引く「朝鮮半島方式」に似た案になる可能性が指摘されている。

26日、ウクライナ北東部スムイで活動する消防士=ロイター
26日、ウクライナ北東部スムイで活動する消防士=ロイター

 トランプ氏は27日、ケロッグ氏について、「軍とビジネスでめざましいキャリアを築いた」とSNSで激賞した。「彼はずっと私と行動を共にしてきた」とし、自身に近い人物であることを強調した。

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 ケロッグ氏は、第1次政権(2017~21年)でペンス副大統領の安全保障担当補佐官だった。現在はトランプ氏に近い政策研究機関「米国第一政策研究所」で安全保障チームの共同議長を務める。今年4月には〈1〉和平合意後、ロシアにそれ以上の侵攻をさせない〈2〉和平協議参加をウクライナへの防衛強化の条件とする〈3〉ロシアを協議に参加させるため、ウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟を長期間延期する――などの提言を発表した。

 米紙によると、トランプ氏陣営では次期副大統領のJ・D・バンス上院議員も9月、ウクライナの露占領地内に「非武装地帯」(DMZ)を設置し、戦闘を停止させる案に言及した。

 朝鮮戦争(1950~53年)では最初の1年は激しい戦闘が行われたが、その後は戦線が動かない 膠着こうちゃく 状態に陥った。核保有国間の緊張激化を恐れた米国とソ連が休戦に向けた協議を51年に開始した。約2年後の53年7月に、北緯38度線付近の軍事境界線を引き、DMZを設置する休戦協定が締結された。

 ケロッグ氏やバンス氏らの主張は、朝鮮戦争が休戦に至った方式に似た部分があると指摘される。

 ただ、戦線の「凍結」はロシアとウクライナの双方にとって大幅な妥協が必要となり、受け入れは困難が予想される。

 ロシア通信によると、セルゲイ・リャプコフ露外務次官は28日、停戦交渉を行う条件として、「プーチン大統領による提案を認めること」を米欧やウクライナに求めた。プーチン氏は、ロシアが一方的に併合したウクライナ東・南部4州からのウクライナ軍の完全撤退、ウクライナのNATO加盟断念を求めている。

 一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は今月の米FOXニュースのインタビューで、露占領下にある南部クリミアについて「外交的に取り戻す準備がある」と述べた。従来の「全領土の奪還」の主張から態度を軟化させてはいるが、「停戦はロシアに再軍備の時間を与えるだけだ」とプーチン氏への不信感を繰り返し強調している。

 仮に停戦が実現してもロシアに「再侵攻」の準備期間を与えるとの見方も根強く、間もなく開始から3年となる戦闘の行方は不透明なままだ。

アジア版NATOの議論開始、石破首相「肝いり」施策には自民党内から否定的な声…「落としどころ」探る

 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241128-OYT1T50205/

アジア版NATOの議論開始、石破首相「肝いり」施策には自民党内から否定的な声…「落としどころ」探る

 自民党は28日、石破首相(党総裁)が持論とするアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設などを巡る議論を始めた。「石破カラー」の代表格とも言える主張には党内でも否定的な声が多く、今後は首相の顔を立てながら議論の落としどころを探ることになりそうだ。

自民党の「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」の初会合であいさつする小野寺政調会長(右上)(28日、党本部で)
自民党の「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」の初会合であいさつする小野寺政調会長(右上)(28日、党本部で)

 「一朝一夕でできるような課題ではない。しっかり議論を積み上げていくことがまずは大切だ」

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 自民の小野寺政調会長は同日、党本部で開かれた「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」の役員会の初会合でそう述べ、時間をかけて話し合う考えを示した。

 特命委は、首相が10月の第1次内閣発足後、小野寺氏に党内議論を指示したことを受けて新設された。委員長は小野寺氏自らが務め、有識者からの意見聴取などを重ねて、首相への提言をとりまとめる予定だ。

 アジア版NATOの構想は、首相が20年来訴えてきた肝いりの施策だ。9月の党総裁選では「アジアで集団安全保障の仕組みを作っていくことは喫緊の課題だ」と強調していた。

 だが、実現には集団的自衛権の全面行使を可能にする憲法改正などが必要とされ、中国も刺激しかねないとの指摘もあり、総裁選時から反対意見が出ていた。

 首相はこうした声を意識し、就任以降は、党内に議論を委ねている。外遊時にも触れずに、持論を封印する慎重姿勢を貫く。

 げたを預けられた形の自民は、来年1月に米国で発足するトランプ政権の行方も注視している。トランプ氏は第1次政権でNATOからの脱退をほのめかしたこともあるなど、多国間連携には否定的なためだ。

 日米関係など現状の外交政策に影響を与えないよう、今後とりまとめる提言が総花的な内容になる可能性もある。この日の特命委でも、アジア版NATOなどに関する直接的な意見は出ず、アジアの安全保障を巡る包括的な議論に終始したという。党関係者からは「国防部会での議論で事足りた」と冷ややかな声も漏れる。小野寺氏は会合後、記者団に「アジア版NATOなどにフォーカスするというより、どのような安全保障が重要なのか方向を見いだしていければ」と語った。

2024年11月28日木曜日

不法入国者の犯罪率は、市民や正規移民者に比べて、むしろ少ないですね

 https://www.youtube.com/watch?v=ADQhJtW8A58&t=19s


市民の「感覚」ではなく、実際のデータを見ると、不法入国者の犯罪率は、市民や正規移民者に比べて、むしろ少ないですね。 たとえば、国境に位置するテキサス州において人口10万人当たりの犯罪率(2012年から2018年まで)のデータは次のごとくです: 暴力犯罪(市民は213人、正規移民者は185人、不法入国者は96人) 窃盗罪(市民は165人、正規移民者は98人、不法入国者は38人) 薬物犯罪(市民は337人、正規移民者は235人、不法入国者は136人)。 なぜ不法入国者は犯罪をあまり起こさないのかと言えば、警察に見つかると本国に送り返される可能性があるので、犯罪のような危険な行為を犯さないからですね。しかも、不法入国者は勤労意欲が極めて高く、現地人が嫌がる仕事もする。だからアメリカでは不法入国者を欲している労働市場が存在します。お話にあったように、レストランの皿洗いとかですね。 センセーショナルな反移民記事や感情とは裏腹に、正規移民者であれ、不法入国者であれ、移民はアメリカ経済を支えています。アップル社の創設者ジョブズ氏はシリアの移民、アマゾンの創設者べゾス氏はキューバ系移民の養父に育てえられた、テスラのマスク氏は南アフリカの移民、グーグルの社長はインド系移民、ヨーグルトの大手チョバーニ社の創業者はクルド人、等々。

Syrian Salvation Government

 https://en.wikipedia.org/wiki/Syrian_Salvation_Government 背景 2017年にSSG(シリア救済政府)が設立される以前、イドリブ県は武装反対派グループ、共同運営の地方評議会、そしてシリア反対派暫定政府(SIG)の名目上の権...